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2004.03.23

カブトガニの憂鬱

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カブトガニって以前から妙に語感が好きなんです。カブトガニ、カブトガニ、カブトガニ、ね、声に出してみると何かいいでしょう。
先日、行った科学博物館の「チェサピーク湾の生き物」という臨時のコーナーにカブトガニがいました。そうです、アメリカにもカブトガニがいるんです。それも太平洋側ではなく大西洋側。日本〜東南アジア近海にいるのがTachypleus属なのに対しアメリカのカブトガニはLimulus属です。属レベルの違いというのは、そうですね、例えば同じネコ科の中にネコ属のイエネコとヒョウ属のライオンがいるような関係です。それからカニという名前がついているけど、実はカニではなく、どちらかと言うとクモに近い生き物だそうです。そうそう、化石で有名な三葉虫とも結構近い親戚だとか。意外だったでしょ。でも言われてみれば似てるかな。
意外といえばもうひとつ。海の砂の中でのんびりと生きているように見えるカブトガニ。もちろん、生態系の中ではそれなりに重要な役割を果たしているのですが、一般には人間の役に直接立つとは思われていないようです。ところが、医療関係の学校で微生物学を学んだ人は御存知と思いますが、カブトガニの血液はある種の細菌が持つ毒素の検出、リムルス試験といいます、にとても有用なのです。また、僕も一時期その研究に関係していたのですが、カブトガニ血液中のタキプレシンというタンパクには抗エイズウイルス効果が試験管レベルでは認められています。
そんなこんなで近頃すっかり株の上がったカブトガニ君ですが、お陰で最近は、なかなかのんびりさせて貰えないようです。人間様の都合で捕まえられては、死なない程度に血を抜かれて、また放されるという結構な迷惑を被っているようで、全く同情しちゃいます。だって、これって彼女と繁華街で楽しくデートしていたら、いきなり献血車に連れ込まれて、ふらふらになるまで採血され、やっと開放されたと思ったら、彼女は人混みに紛れて見つからないというのと同じですもん。「人間ってひどいよなぁ。のんびりくつろいでいたら、いきなり捕まえて血を抜いちゃうんだもん。お陰で貧血気味だよ。役に立つなんておだてられたって、それって人間の勝手な都合だし僕たちは関係ないよ。」なんて砂の中でぼやいているかもしれませんね。

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同時に展示されていたヒトデ
二枚貝を食べるので厄介者扱いされているヒトデですが、そのうち有用成分が見つかって持て囃されるときが来るかもしれません。でもカブトガニもヒトデも、そんなこと関係なしに生きているんですけどね。

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